IMPLANT
インプラントとは、歯を失った部分の顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着することで、見た目と噛む機能を回復する治療法です。素材には、生体親和性が高く、骨としっかり結合する「チタン」が主に使われており、医療の現場でも長年使用されてきた実績があります。
歯科領域における「インプラント」は「歯科インプラント」と呼ばれ、もともとは「体内に埋め込む人工物(implant)」を意味します。心臓のペースメーカーや人工関節、美容整形に用いられるシリコンなどもインプラントの一種です。その中でも、顎の骨に埋入し人工の歯を支えるインプラント治療は、機能性・審美性の両面で優れており、歯科分野で広く普及しています。
インプラントは、虫歯や歯周病、外傷などで歯を失った方に適応される治療です。1本だけ歯を失った場合から、複数本、またはすべての歯を失った場合まで対応可能です。
ただし、すべての方がインプラント治療を受けられるわけではありません。インプラントは外科的手術を伴うため、全身の健康状態や顎の骨の量・質が重要な判断材料となります。高血圧、心疾患、糖尿病、骨粗しょう症などの持病がある方は、事前に医科との連携やリスク評価が必要です。また、重度の歯周病がある場合は、まずその治療を優先してからインプラントに進むケースもあります。
不安な点があれば、カウンセリングの際にぜひご相談ください。当院では、一人ひとりの状態をしっかり確認したうえで、安全で無理のない治療をご提案いたします。
当院では、初めてインプラント治療を受ける方にも安心して臨んでいただけるように、事前のカウンセリングから治療完了まで、段階ごとに丁寧な説明と処置を行っています。ここでは一般的な治療の流れをご紹介します。
患者様のお悩みや治療へのご不安、ご希望を丁寧に伺います。インプラントの仕組みやメリット・デメリット、他の選択肢(入れ歯・ブリッジ)との比較もわかりやすくご説明し、ご本人だけでなくご家族の方のご相談にも対応しています。
お口の中の状態を確認するため、レントゲン撮影・CT検査・口腔内写真の撮影・歯型の採取などを行います。必要に応じて血液検査や既往歴の確認も行い、全身の健康状態を考慮したうえで、安全な治療計画を立てます。費用やスケジュールもこの時点で明示し、無理なくご納得いただけるよう丁寧にご説明します。
顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込む手術を行います。局所麻酔を使用し、処置時間は1本あたり30分前後。骨の量や質によって再生治療や補助処置(GBR・サイナスリフト)を併用する場合もあります。
インプラントと骨がしっかり結合するまで、3~6ヶ月の治癒期間を設けます。
※骨が治りかけや柔らかい場合長めに治癒期間を設けます。
その間は必要に応じて仮歯を装着し、普段の生活に支障が出ないようにサポートします。
※この段階で装着する仮歯は、まだインプラントが安定していないため、強く噛むと脱落のリスクがあります。そのため、審美性や発音機能の回復を目的として、強く噛まない前提で軽く接着するイメージです。
異常があればすぐにご相談いただける体制を整えています。
インプラント体が安定した後は、人工歯を支える連結パーツ(アバットメント)を装着します。
その後、歯ぐきの形を整えるために1〜2週間の調整期間を設けます。
この段階では、アバットメントを必要に応じて調整・削合し、仮歯を装着して噛み合わせを確認します。
最終的な人工歯をスムーズに装着できるよう、位置や接触面に問題がないか丁寧に擦り合わせを行います。
患者様の歯列やかみ合わせに合わせて、精密な型取りを行います。使用する素材や色味などもご希望に応じて選定し、セラミックなどの見た目も美しい被せ物をオーダーメイドで製作します。
完成した人工歯を装着し、噛み合わせや色・形を最終調整します。治療完了後には、見た目も機能も自然な歯がよみがえります。
実は、インプラントも細菌の影響で歯周病のような炎症(インプラント周囲炎)を起こすことがあります。
インプラントを長持ちさせるためには、治療後のメンテナンスが非常に重要です。セルフケアの指導や、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアを定期的に受けることで、インプラント周囲炎の予防につながります。定期検診では、インプラントの状態確認、噛み合わせのチェック、必要に応じたクリーニングを行います。
当院では、インプラント治療が初めての方にも安心して受けていただけるよう、丁寧でわかりやすい診療を大切にしています。痛みへの配慮、診断精度、費用面での納得感など、総合的に信頼いただけるインプラント治療を目指しています。
手術と聞くと「痛そう」「怖い」という印象をお持ちの方も少なくありません。当院では、表面麻酔等を使用し、できる限り痛みを抑えた処置を行っています。麻酔時の違和感を軽減する注入速度の調整や、緊張を和らげる声かけなども徹底しています。
安全で確実なインプラント治療には、事前の正確な診断が欠かせません。当院では、歯科用CTを用いて、あごの骨の厚みや神経の位置まで詳細に把握します。2次元のレントゲンでは見えにくい部分まで立体的に確認できるため、より安全性の高い治療計画を立てることが可能です。
インプラントに対して不安をお持ちの方も多いため、当院では事前のカウンセリングを重視しています。治療の流れ、手術の内容、使用する材料やオプションまで、写真や模型を用いながら丁寧にご説明。患者様が納得された上で治療を進めていきます。
治療費が不透明だと感じることの多いインプラント治療。当院では、事前に治療内容ごとの費用を明確にご提示し、必要に応じて費用の内訳や今後の流れも丁寧にご説明いたします。治療開始後に不明な追加料金が発生することはありませんので、安心してご相談いただけます。
インプラントを長く快適に使い続けるためには、治療後のケアが欠かせません。
インプラントは虫歯にはなりませんが、「インプラント周囲炎」と呼ばれる歯周病に似た炎症を起こすリスクがあります。また、ご自身の歯と同様に、噛み合わせの変化によってインプラントへの負担が増し、炎症が強くなる場合もあります。
これを防ぐためには、日々のセルフケアと定期的なメンテナンスが重要です。
治療後は、毎日の丁寧なブラッシングが基本となります。特にインプラントの周囲にはプラーク(歯垢)がたまりやすく、歯と歯ぐきの境目を意識した磨き方が必要です。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助清掃用具も併用することで、汚れを残さず落とすことができます。正しいケア方法については、当院の歯科衛生士が丁寧にご指導いたします。
セルフケアに加えて、歯科医院でのプロフェッショナルなメンテナンスを受けることで、インプラントの長期的な安定が期待できます。
当院では、3〜6ヶ月ごとの定期検診をおすすめしてます。
このような予防処置を定期的に受けることで、再治療やトラブルのリスクを大きく減らせます。
また、噛み合わせの状態を長く安定させるために、必要に応じてマウスピースの使用をおすすめすることもあります。
インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲組織に炎症が起こる状態で、進行すると骨が溶けてインプラントが抜けてしまうこともあります。初期は自覚症状がほとんどないため、気づいたときには症状が進んでいるケースも少なくありません。
このようなリスクを防ぐには、適切なセルフケアと、歯科医院での定期的なメンテナンスが何より大切です。
Q.
インプラント治療は痛いですか?
A.
インプラント手術は局所麻酔を使用して行うため、処置中に痛みを感じることはほとんどありません。麻酔が切れた後に軽い痛みや腫れを感じることがありますが、痛み止めを処方いたしますのでご安心ください。また、当院では麻酔の方法や注入スピードにも工夫を加え、できる限り痛みの少ない治療を心がけています。
Q.
インプラントの費用はどれくらいかかりますか?
A.
インプラント1本あたりの総額は、概ね30〜40万円(税込)程度が目安です。内訳としては、インプラント体の埋入手術費用と、被せ物(上部構造)の費用が含まれます。骨の状態によっては追加処置が必要な場合もありますが、事前にすべての費用を明示してから治療を開始いたします。
Q.
インプラントはどのくらいもちますか?
A.
適切なセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスを行っていれば、10年以上機能し続けるケースが多く、20年以上使い続けている方もいます。ただし、メンテナンスを怠るとインプラントの周囲に炎症(インプラント周囲炎)が起こり、脱落のリスクが高まるため、継続的な管理が大切です。
Q.
治療期間はどのくらいですか?
A.
一般的に、インプラント体の埋入から最終的な人工歯の装着までに約3〜6ヶ月の期間がかかります。骨の状態や追加処置の有無により期間は前後しますが、必要に応じて仮歯を装着して頂き、見た目や日常生活に大きな支障が無いようにさせていただきます。
Q.
インプラント治療を受けられない人もいますか?
A.
重度の全身疾患がある方や、骨の量や質が著しく不足している方は、治療が難しい場合もあります。ただし、事前の検査や診断により、リスクの有無や対策を判断できます。ご自身が適応かどうか気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。
Q.
メンテナンスはどれくらいの頻度で必要ですか?
A.
通常は3〜6ヶ月に一度の定期検診をおすすめしています。インプラントの状態だけでなく、周囲の歯ぐきや他の歯の健康もあわせて確認し、必要に応じて清掃や咬み合わせの調整を行います。定期的なプロフェッショナルケアによって、インプラントの寿命を延ばすことが可能です。